一般的に庭を作る効果は、緑を身近に感じることで癒しを与えてくれることではないでしょうか? 雑木の庭はそれ以外にも様々な効果が感じられると思います。日本の季節を感じられたり、癒しの効果が高かったり、住宅空間での悩みを解決する効果があったり。私が感じる効果を紹介したいと思います。

1.四季の移ろいを身近に実感できる

 四季を感じ、それぞれ違った魅力的な姿を楽しむことができます。日常の生活圏では感じられない、美しい庭の姿に喜びを感じられるのではないでしょうか。

【春先】

 冬の間魚の骨のような姿だったモノトーンの落葉樹の枝から、パステルカラーの葉っぱが一気に吹き出します。日々葉っぱが大きく広がっていき、毎日変化する庭の成長が嬉しく感じます。

【春】

 新緑が展開し、さわやかなグリーンのパステルカラーに庭全体が包まれます。木漏れ日の下から見上げると、日光が若葉を通り抜けて輝いて見え、その美しさに癒されます。また、春の花木や山野草は種類が多く、花が楽しめるのもこの季節の醍醐味。

【初夏】

 春の山野草の開花ラッシュが終わるころ、大きく花芽を膨らませて色とりどりの花を咲かせ始めるのがヤマアジサイ。繊細で環境を選びますが、雑木の庭だからこそ地植えで育てられます。ヤマアジサイが自然の環境のように育てられるのは雑木の庭の持ち主の特権ではないでしょうか?

【夏】

 緑が深まり夏の暑い日差しから庭を守ってくれます。その効果で気温は抑制され、また木漏れ日に覆われたその姿は、見た目にも涼しく感じられます。

【秋】

 紅葉を身近な庭で楽しめるのも、雑木の庭の大きな魅力です。昼間もさることながら、夜間ライトアップしたその姿を独り占め。贅沢な気分を味わえます。

【冬】

 落葉樹の葉が落ち、一番寂しく感じる季節。しかし常緑樹やコケは緑を保ち続け、セツブンソウなどのスプリングエフェメラルと呼ばれる春植物はひっそりと花を咲かせます。
 紅葉後は祭りの後のような寂しさを感じますが、殺風景なこの季節があるからこそ春の美しさが引き立つのかもしれません。

2.庭カフェを楽しむ

「庭を眺めながらコーヒーを頂く」至高の時間に感じられます。

庭に濡れ縁やテーブルなど、ちょっとくつろげるスペースを作れば、楽しみが広がります。どんなお洒落な喫茶店でもこんな贅沢な時間を独り占めできないでしょう。

 ただし外で楽しめるのは、暖かくなる春先から蚊が発生するまでの5月初旬ぐらいと以外に短期間です。蚊取り線香や蚊撃退スプレーを使えば以降の季節でも行けますが、私のように蚊が気になって気が休まらないかもしれません…

 蚊の季節は、庭を眺められる部屋で庭カフェを楽しむスタイルで。

【庭カフェのYouTube動画】

3.夏場の日差しと気温抑制

 狭い敷地の小さな庭は、木の密度を上げやすいので木漏れ日を作りやすく、嬉しい効果をもたらします。夏の暑い日差しは上空を覆う樹冠に遮られ、その熱は地表に届きにくくなります。また、住宅の脇に大きめの木を植えれば外壁に当たる直射日光を遮ってくれるので、部屋の温度上昇を抑え、エアコンの効きも良くなります。

 また、朝夕の水遣りや、木々や下草の葉っぱからの蒸散による気化熱で、気温上昇を抑制することができます。庭にせせらぎがあれば、その効果はより大きくなります。
 さすがに昼間にエアコンが要らくなるほどの効果はありませんが、庭と道路では温度の違いを感じますし、夜になれば窓から冷やっとした空気が部屋に入ってきて心地よく感じられます。

4.外からの視線を遮断

 木漏れ日ができる環境は、お隣さんからの視線を遮ってくれる効果にもつながります。
 我が家は住宅街にあり三方をお隣さんに囲まれています。その上小さな庭のため距離も近く、今の庭を作るまでは決して夜にカーテンを開けることはできませんでした。しかし雑木の庭のお陰で、お隣さんの窓からの視線を遮ってくれるので今は昼も夜もカーテンオープン状態。これは部屋を広く感じさせてくれる上、ライトアップされた庭を部屋から眺めることもできて嬉しいことばかりです。

5.山野草や雑木の一輪挿しで、部屋も豊かに

 雑木には花を咲かせる樹種が多く存在します。また、庭植えではなかなか育てにくい山野草も、雑木の作る木漏れ日の下では比較的簡単に育てることができます。家にいながら季節ごとの花が楽しめ、条件が良ければ間引かなくてはならないほどに育ちます。

 そうした花や剪定した枝を部屋の花瓶や一輪挿しに挿して部屋でも気軽に自然を感じることができるのも、雑木の庭の醍醐味ではないでしょうか。

6.食べる楽しみ

 雑木や山野草の中には、食べれる種がいっぱいあります。食べることを重点に植物を選ぶのも良いかもしれません。

 例えばオオバギボウシの若葉の「ウルイ」、シダの仲間の「コゴミ」などは立派な山菜です。ユキノシタの葉っぱも天ぷらで食べれるそうです。ジューンベリーは5月末に毎年収穫してジャムにして楽しんでいます。硬めの種が気になりますが、右上の写真のような裏漉し器を使えば、簡単に種の入らない滑らかなジャムを簡単に作ることができますよ。

以下のYouTubeに、ジューンベリーの収穫からジャムづくりまで紹介しています。よろしければご覧ください。



 いかがでしょうか? 意外と雑木の庭の付随効果があります。雑木の庭の魅力が少しでもお伝えできれば嬉しく思います。

(22年8月)
この記事を動画にして、YouTubeにアップしました。簡易版ではありますが、楽しく見ていただけるようにと思い制作しました。よろしければ、是非ご覧ください!

(23年1月)
庭づくりの施工費、気になりますよね?  私が「芝生の庭」から「雑木の庭」にリガーデンしたときの施工内容ごとの費用を公開します。