庭に「せせらぎ」を作るかどうか? 最初から「そこまでやるつもりはない」と思っている人や、作ろうか悩んでいる人もいると思います。雑木の庭の「せせらぎ」のメリット、デメリットを、オーナー目線で説明したいと思います。

1.「せせらぎ」のメリット

(1)せせらぎの音色で癒される

 庭を眺めながらコーヒーを飲んでホッと癒されるひととき。そんなときに「せせらぎの音色」と「瀬を水がながれていく光景」を自分の庭で実感できるのは、至高の贅沢ではないでしょうか?

(2)水場の山野草が育つ

 雑木の庭を育てる人は山野草も育てる傾向が強いかと思います。それは住宅街の厳しい環境でも適度な木漏れ日を作り出すことで「山野草の育つ環境」に近くなり、育てるハードルが低くなるから。また、せせらぎがあれば滞留水では育たない水辺の山野草も容易に育てることが可能になります。

 湿地に自生するトキソウ、サギソウ、カキラン、日陰の湿った岩肌などに自生するイワタバコなどを容易に育てることができますよ。

(3)空中湿度を高める効果

 せせらぎの流れにより庭の空中湿度が高まることで、次の2つの効果があります。

1.山野草が育ちやすい環境に近づく
 山野草の育つ環境は朝は露がおり夕方は夕立が降ったりと、明らかに平地の住宅街よりも湿度が高い環境となります。せせらぎには住宅街の乾燥した厳しい環境を和らげてくれる効果があります。

2.庭がひんやりと感じる
 窓を開けると気化熱の効果でひんやりとした空気が家の中に入ってきます。そんな気持ちよさを感じることができます。

(4)魚を育てることもできる

 せせらぎの終点に池状の溜まりを作れば、そこでメダカやモロコ、タナゴなどを育てることができます。お子様もきっと喜ぶことでしょう。
 しかしせせらぎの掃除のときに魚を退避させる必要があるため、手間がかかってしまうデメリットがあります。

 私も魚を飼うためにせせらぎを作りメダカなどを育てていましたが、2,3週間に一度のせせらぎ掃除の手間が大変すぎて諦めてしまいました。しかし流れの中で泳ぐ環境は「せせらぎ」だからこそ。一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

2.「せせらぎ」のデメリット

(1)水漏れのリスク

 庭師さんにも依ると思いますが、少なくとも我が家では水漏れに悩まされました。今は自分の中で許容できる水漏れ量に落ち着いていますが、ここに至るまでは大変な苦労がありました。時間が経つにつれて真砂土を含んだ脆いモルタルが劣化して水が漏れ始め、徐々に水道からの給水量が増えていってしまいます。

 自分で水漏れ箇所を特定し、防水性の高い「防水モルタル」を使用してこれまで何度も補修を繰り返してきました。 今でも給水量を時々チェックしている状態が続いています。
 ちなみに最悪の時で、15㏄/秒ぐらい、現在でも4㏄/秒程度の水漏れをしており、許容値と思って割り切っています。(4㏄/秒=1分で缶コーヒー1本分ぐらい)

(2)水漏れによる根腐れリスク

 水漏れが発生しても、水道料金を気にしない人や、井戸水だから大丈夫、と思う人もいるかと思います。しかし地盤が粘土質などで水はけが悪い場合、大切な雑木を根腐れしてしまうことが考えられます。私もその被害を受けてしまいました。

 最初はひどい枝枯れの原因が分からず悩んでいるときに、ある庭師さんからインスタのメッセージで根腐れの可能性のご指摘を頂きました。根の付近に深い穴をあけると、約50㎝ぐらいの深さに水がたまっているのを確認! 水漏れ箇所を特定し補修したところ、水位は下がり徐々に元気を取り戻していきました。

 根腐れだけでなく家屋にも悪影響のリスクがありますので、水漏れは最小限に抑えたいものですね。

(3)定期的な「せせらぎ」の掃除が必要

 ポンプの循環式の場合は水の中に緑や茶色のコケが付きやすく、地上のコケと違ってあまりきれいなものではありません。最悪の場合、ドブ川のようなヌメッとした見た目と悪臭が発生することがあります。

 これは水の富栄養化が原因。水の中の栄養分が増えると太陽光の影響も受けていとも簡単にコケが発生し始めます。
ではなぜ富栄養化してしまうか? 以下の理由が考えられます。

・雨水が地面の有機物や肥料分を含んで「せせらぎ」に流れ込む

・落ち葉が流れに溜まってしまう

・イモムシやナメクジ、ミミズなどが水の中に落ちて死んでしまう

特に雨の後天気の良い日が続くと、みるみるコケが増えれいってしまいます。

 以上のことから定期的な「せせらぎ」の掃除が必要になります。私は冬以外は2~3週に1回のペースで、特に大雨の後は早めに掃除することを心掛けれいます。
 掃除の方法は、以下の手順で行っています。 (所要時間:おおよそ1時間弱)

1.ポンプを止め、溜まりの中の石についたコケをブラシでこすり落とす
2.ブラシでこすった汚れた溜まりの水をくみ上げるポンプを回し始め「せせらぎ」の瀬の石ころの中に入り込んだ汚れをブラシやジェット水流で洗い流す
3.ポンプを止めて溜まりにたまった3の水をくみ上げて捨てる
4.水槽のフィルターを取り出し、溜まった汚れを洗い流す

もう一つ富栄養化に対し対策していることがあります。

 大雨のときに土の上に浮いた水が「せせらぎ」に流れ込むルートは決まっています。そのルートのせせらぎの際のあたりに「穴あけツール」で空き缶ほどの径で1m弱の以上穴を掘り、その中に炭や竹を差し込み、目立たないように軽く石でふさいでおきます。すると富栄養化した雨水がその穴に落ち地面に染み込んでいくので、せせらぎに流れ込むのを防ぎ汚れを抑制することができるわけです。

 この方法は結構効果を感じており、もしもあなたが「せせらぎ」を庭師さんに依頼する場合は是非この方法を提案して欲しいと思います。

3.まとめ

 いかがだったでしょうか? 「せせらぎ」は非常に大きな魅力もある反面、苦労するリスクも秘めています。補修と掃除をやる覚悟を持って「せせらぎ」を作る判断をされた方が後悔はないかもしれません。もちろん庭師さんの技量によってはこのようなトラブルのない「せせらぎ」が可能でしょう。出来ることならその庭師さんの作られた現物を確認し、施主さんとメンテナンス等の話を聞けると大きな判断材料になります。