1. 水遣りの頻度は?

 雑木の庭はしっとりとした空気感があり、水をどの程度やっているのか?気になる方も多いと思います。

 結論から言うと、
・初夏から秋口まで:朝夕2回/日
・冬:週2回程度(乾いたら)
・晩秋から春まで:1回/日~0.5回/日
ぐらいで管理しています。

 いろいろな庭木の本に、「根付いたら降雨だけで大丈夫」とありますが、鵜吞みにするのは危険です。特に「夏場」。
雑木の庭を作る多くの人は、山野草などの下草やヤマアジサイなどの低木なども植えていることが大半です。それらの植物の多くは冷涼な山野に自生するものであり、その環境は朝露に濡れ、高い頻度で夕立があり、夜はひんやりと快適な気温であったりと、平地の住宅街とは違いが大きすぎます。そんな厳しい環境でそれらの植物を育てようと思ったら、人が不足分を補うしかありません。その一つが「水遣り」なのです。
 また木の持っている体力により多少の水不足で枯れることはありませんが、特に夏場に水不足が続くと葉焼けを起こし枝枯れが始まり、無残な姿に変貌していき最後は枯れるということも珍しい話ではありません(私が雑木の庭作庭前の無知な時の体験談です)。
 また、山野草やヤマアジサイは意外なほど「あっけなく」水が下がって枯れてしまいます。

2. 水遣りに掛ける時間は?

 雨が降った後や、天気予報で雨となる前など、状況によっても違いますが、10坪の庭でおおよそ、
・夏場は15~20分程度
・冬場は5~10分程度
ぐらいの時間を掛けています。

 水は「多くやるに越したことはない」と思う人がいるかもしれませんが、「適量」が大切です。時には乾かし気味な状態を作ることも大切。多すぎると地中の浅めのところまで水位が上がってしまい根腐れを起こしてしまいます(大雨の後は注意。庭の水はけ具合を知ることが大切)。「自然の山の中の環境を庭で再現する」と考えるとイメージが沸きやすいかもしれませんね。

3.具体的な水のやり方

  水遣りの際、水やりの密度も植栽や庭の状態で変わってきます。以下にそのポイントをまとめました。

植栽してから一年ぐらいは、他の木よりも5倍ぐらい水をやる
 根を切られてしまった木は、水を吸い上げる力が格段に下がってしまうため、全ての葉が必要とする水分を根が補うことが難しくなり、枝枯れを起こしてしまうことがよくあります。そうならないように一般的には、植栽間近の木は可能な限り枝を落とし根と葉っぱのバランスを保ちます。それでも、水が不足気味だと水分供給が滞ってしまい、すぐに枝枯れスイッチが入ってしまいます。
 根が復活するまで水をタップリと遣るように心がけてください。木の大きさにもよりますが、1株当たり30秒を目安にしてください。
「根腐れが心配」と思うかもしれませんが大丈夫。植えたばかりの木は浅い部分にしか根はありませんから。

雨が降った後や降る前は控えめに
 地中の水はけ環境が良くない場合、降雨や多量の水遣りで地中に水が滞留してしまい、根腐れが起こってしまいます。地中は目には見えないので状態を認識することはできませんが、直近の降雨や日照り具合からイメージしてみてください。雨が降った次の日の晴天で地表が乾きすぎの場合は、地表のみ潤す程度に抑えた方が良いでしょう。

シャワーの水流で土を流さないように
 ガーデン用のシャワーの多くが水流調整機能が付いています。地域により水道の水圧の差もありますが、あまりに勢いが強すぎると土をえぐってしまい、細かい根が露わになってしまいます。
 腐葉土やバーク+落ち葉などでマルチングするか、苔を株元に敷くと、水流から守ってくれる上、水分を保持して地表を乾燥から守る効果もありますのでお勧めです。

水遣りは、夏は朝夕、冬は昼間
 夏の気温の高い昼間に水をやらないようにしてください。夏場の直射日光で熱くなった地表に水を掛けると、その水がお湯になってサウナ状態で蒸れてしまい根を痛めてしまいます。また、葉っぱに付いた水滴は、直射日光のレンズ効果で葉っぱにダメージを与えてしまいます。

 冬はその逆で、朝夕は氷点下だったりすると水が凍ってしまい、根を痛めてしまいます。

 自然の中でも起こりうることではありますが、ただでさえ環境ストレスを感じているのに敢えてそんな試練を与えなくても良いのではないかと思います。

夏の葉水は効果的
 暑い夏は葉っぱの蒸散が激しく、夕方には脱水状態になってしまいます。葉水とは、直接葉っぱに水を掛ける行為を言いますが、特に植え付けたばかりの木には葉っぱをきれいに秋まで保つのに有効な手段です。
 シャワーをミストにして多数の水の玉を葉っぱに付着させた方が、葉っぱに付く水の総量が多くなるのでお勧めです。

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