1.雑木の庭はこまめな剪定が大切な理由

 雑木の庭の木々を柔らかな枝ぶりの状態で維持するには、剪定が欠かせません。「自然の中では人工的な剪定なんて不要じゃないか?」と思われるかもしれませんが、「庭と自然の環境の違い」を補うために必要不可欠だと言えます。

 では、「庭と自然の環境の違い」とは何か?というと、大きくは「日の当たり具合」です。自然の中で柔らかな枝ぶりになっている木は、その周囲を高木や山肌などに囲まれていて、日当たりが良くないはずです。逆に言うと、日当たりが良くないから、枝を太らせることよりも伸ばすことにエネルギーを使い、少ない葉っぱの数で効率よく光を吸収しようと重ならないように面状に葉を広げようとする訳です。


 次に庭の環境は?というと、日当たりが良すぎる環境です。枝を伸ばさなくても光を受けることができるので、葉っぱの数を増やして光を栄養に変えて幹や枝を太らせようとしてしまう訳です。
 以上のことから、増えた葉っぱを枝ごと人間の手で強制的に剪定することで、自然の状態に近付ける訳です。葉っぱの数を減らすことにより作られる栄養の総量を下げることができ、幹を太らせるスピードを弱める効果と、下枝を切ることで、上へ上へと伸びようとするスラっとした山の中の自然樹形に近付けることができる訳です。

 ここで注意してほしいのは、木が葉っぱを増やすもう一つの理由に、「幹や根を守る目的」があることです。「雑木の庭DIYの重要な2つのポイント」1(5)自然の環境に近付ける方法に示したように、直射日光の対策を取らずに剪定だけしてしまうと、直射日光から幹を守ることができず直射日光から受ける熱の許容範囲を超えてしまうことになりかねません。そのことは木を弱らせ、最期には枯らしてしまうことを意味します。

 雑木の庭を良い状態で管理するには剪定が必要だということがご理解いただけたかと思います。通常は年2回程度、春の芽吹き、葉っぱの展開が収まった5月初旬と、紅葉が終わりかけた晩秋に行います。
 晩秋は太い枝など思い切った剪定で樹形を保つこと、春は枝葉の量を少なくして成長を抑えることと枝葉の密集による病害虫を防ぐことが目的です。

 ちなみに「冬」と書かず「晩秋」と書いたのは意味があります。冬眠から休眠打破する季節が暖冬の影響で早まっていると言われています。1月初旬にモミジの枝を切ったら樹液が吹き出て焦ったことがあります。これはすでに休眠打破している証拠なのです。紅葉して落葉が始まった時期から年内に剪定するのをお勧めします。

2.剪定を自分でやるか、庭師に頼むか?

 作庭を庭師に依頼すると、多くの庭師は年間メンテナンスのサービスを有料で準備しています。私の場合は1年間だけお願いし、年間10万円ほどだったと記憶しています。このメンテナンスを庭師に依頼するか自分でやるか、皆さんが悩むところだと思います。その最大のポイントは、「果たして剪定が自分でやれるかどうか?」。 皆さんの剪定の心配事は次の2点ではないでしょうか。

(1)脚立を使った高所作業

 まず、足場の悪い庭で脚立を使う高所作業は危険を伴います。剪定用の脚立は三脚ですが、その3か所が同じ高さになるように設置することや、適度に広げること、作業中に体の重心の位置が3か所の脚の三角形よりはみ出さないようにするなどの注意点があります。安全な使い方はネットでも検索できるので事前に調べて自分でやれそうかどうか判断してください。安全第一ですので、危険だと思うのであれば、無理せず庭師に依頼した方が良いと思います。

 ちなみに私は2.4mの脚立を使用しており、届かない範囲は2階の窓から手繰り寄せたり、高枝切りばさみで処理しています。これより大きいものだと取り回しが大変だったり置き場にも困るので、自分にとっては丁度良い長さだと感じています。ちなみに2階の窓から剪定できるのも、小さな庭のメリットだと感じています。

(2)剪定の技術(樹形を維持できるか?)

 これから雑木の庭を作ろうと思う人で剪定に心配を感じない人はほとんどいないと思います。そもそも素人にできるものなのか?、取り返しのつかないことになってしまうのではないか? 分からない分だけ不安は大きいと思います。

 雑木の庭での剪定は、「透かし剪定」という種類のもので、街路樹などでよく見るぶつ切りの「切り戻し剪定」ではなく、枝の付け根付近で落とすことを基本としており、切ったことに気付かないぐらい違和感を感じさせないのが特徴です。その剪定については技術とセンスが必要です。自分は人様に教えるレベルではないので詳しい説明はしませんが、その方法を解説した本が売っているので、一冊購入することをお勧めします。

 私は自分で剪定してきた経験者の意見として、是非チャレンジしてほしいと思っています。本を読めば十分知識は得られますし、作庭して3年目ぐらいまでは枝の成長は鈍化しているので、少しずつ実践を積めると思います。そして何より楽しいことが一番のメリット。盆栽の剪定を庭師に依頼する人はいないと思います。雑木はある意味大きな盆栽のようなもの。忌み枝を切って自然に感じのいい樹形を維持し、それを眺めて満足感に浸る喜びを感じてほしいと思います。

3.自分で剪定するメリット、デメリット

 自分で剪定するメリットをまとめました。

  • 費用が掛からない
  • 剪定作業が楽しい
  • 必要な時にタイムリーに剪定できる(特にモミジの冬の選定は時期が遅いと切り口から樹液が流れ出てしまうなど時期を選びます)

デメリットは、

  • 高所作業の危険を伴うリスク
  • 成長を抑えられない、もしくは切りすぎて樹形を乱してしまうリスク

 もしも自信が無くて庭師に依頼するにしても、手の届く範囲で必要な時にやれる範囲でも剪定した方が良い状態を維持しやすく、「基本は庭師、やれる範囲は自分でやる」という方法も一つの選択肢です。

【ブログカテゴリ:剪定】に、剪定に関する記事を載せています。参考にしてください!

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