ヤブコウジ (住宅街での育成環境)

 落葉樹が主役の雑木の庭、落葉期である冬場は少し殺風景な印象を受けるかと思います。 上空は落葉樹の枝のみ、自ずと目線は地表に行きやすくなります。山野草も休眠期で目立つ植物が乏しい中、ヤブコウジ の赤い実と深緑の常緑の葉っぱはいちばん存在感を示してくれる存在となります。
 今回はそんなヤブコウジについて紹介したいと思います。

1.ヤブコウジの魅力

  このヤブコウジ、雑木の庭のグランドカバーとして重宝します。 庭の地表を苔で覆っている場合は出番はありませんが、自然の林床のような雰囲気の植栽の場合は多くのメリットがあります。 そのメリットについて解説していきます。

(1)冬の庭の地際を緑豊かにしてくれる

  常緑小低木というカテゴリに属す通り、”冬でも緑を保つ、非常に樹高の低い木”です。「草」ではなく「木」ですので、幹や枝は季節を問わず維持し続けます。つまり季節を問わず存在し続けます。また、樹高は10㎝~20㎝ぐらいで圧迫感の出ないちょうどいい高さです。

(2)成長が緩やか

  1年のスパンでは、あまり実感できないレベルに成長が緩やかなので、増えすぎて管理しきれなくなってしまうようなリスクはありません。

(3)赤い実と「正月の縁起物」

 多くの植物が地表から消えてしまう冬のシーズンに赤い実を程よく付けるため、冬の殺風景なモノトーンの庭をほんの少し彩ってくれます。また、正月の縁起物として古くから扱われており、この季節に赤い実を付ける別の木の中での実のたわわさランキングから「十両」とも呼ばれています。切り花のように一輪挿しにしても愉しむことが出来ます。

(4)肥料となる落ち葉を維持してくれる

 これとは別の記事で、秋の落ち葉を土に還元するために株元に撒く管理について紹介しました(記事はコチラ)。この際、風で飛びやすい落ち葉を地表に保ち続けてくれる働きをしてくれます。ヤブコウジが無ければ、小さな庭で落ち葉を撒くことは難しいかもしれません。

2.育て方

 基本的に暑さ寒さに強く丈夫で育てやすいのですが、日当たり環境についてのみ注意してください。ヤブコウジは林床に生える小低木で日当たりの弱い場所に自生しています。そのため、日当たりが良すぎると葉焼けを起こしてしまい徐々に弱ってしまいます。逆にほとんど日が当たらないような場所でも適度な明るさがあれば育てることが出来ます。
 また適度に土壌が湿った環境を維持するようにしてください。雑木の庭に植える場合には山野草やヤマアジサイのために水遣りは欠かさないと思いますので、そのような環境であれば特に注意する必要はありません。

3.ギャラリー

我が家の庭のヤブコウジの様子を写真でお伝えします。