DIYで新たな植栽エリアづくり

 ガーデニングにハマればハマるほど植栽したい植物が増えてしまい、植えたくても植えるスペースがない…そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか? 庭から溢れた鉢植えの植物が、家の周囲をグルリと囲っているようなお家を見ることがあります。
 10坪ほどしかない我が家の庭の植物密度はMAX状態で鉢植えこそ無いもののそんな悩みを抱えています。ふとカーポート下の一角に植栽できるのではないかと思い立ち、植栽エリアを作ることにしました。

 これまでカーポート下のような屋根のある場所は植栽に適さないという先入観を持っていましたが、よく考えるとカーポートのすりガラスのような屋根は日差しを和らげる効果があるし、雨が当たらないこともルーティーンとなった毎日の水遣り+自動灌水のような工夫でカバーできてしまうので、全然イケてしまうことに気付きました。

 今回はそんな植栽エリアづくりを紹介します。同じような悩みを抱えている人には参考になれば幸いです。
実はこの内容はYouTubeでも挙げていますが、このブログではもう少し掘り下げた内容でお伝えします。YouTubeをご覧いただいたのちに以下のブログを読んで頂くことをお勧めします。最後まで是非ご覧ください。

1.カーポート下という場所

 いきなりですが、下の2枚は完成後の写真です。

 正面には庭とカーポートの境目のウッドフェンスがあり、その左手前にはカーポートの雨水を溜めるための水鉢が置いてあります。その手前の植栽エリアが今回紹介のエリア。

ほんの小さな一角ですが、植栽スペースが広げられただけでなく、庭との一体感も出たように感じます。

ちなみに、下の写真は7月初旬の午前9時の植栽エリアから太陽を眺めた写真。

 雲一つない梅雨明けのピーカン状態ですが、ご覧のように太陽光が”すりガラス調”の屋根材による拡散されているのが分かります。感覚的には寒冷紗の30%ぐらいでしょうか? これでも日差し強すぎれば、カーポート下に寒冷紗などを取り付けて光量の調整をすることができます。

ちなみに、カーポート屋根の素材もいろいろあります。”熱線吸収ポリカーボネート”なる素材があり、熱をある程度遮断してくれるそうです。これは暑い住宅地で山野草を育てるには最適なのかもしれません。

下は施工前の写真。砂利が敷いてありその下は防草シートになっています。我が家で植栽ができる最期の”土の場所”です。

 次からはは実際の施工についてお伝えします。

2.水はけ対策

 これまでのブログ記事や固定ページでお伝えしてきた通り、土の状態は植物の生育にとって非常に重要な要素であるにも関わらず、意外と対策が打たれることが少ないのが現状かと思います。特に重要なのが水はけ対策。土の中の停滞水は確実に根腐れに繋がります。

 一般的に、作庭時に土壌改良がされない、浸透しない要因は、以下のようなことだと思っています。

・庭全体を土壌改良をしようとするとコストが掛かる
・地域によっては土壌改良が不要
 (例:関東は水はけ”〇”だったり 土壌改良の要否は掘ってみないと分からない)
・土の中の状態は見ることができないので、施主側の意識が向きにくい
 (+土壌改良にコストを掛ける重要度が理解されにくい)
・土壌改良の重要性を軽視している業者が存在する

ちなみに木を植えても上手く育たず、いろんな対策をしても効果が出ないときは多くの場合「水はけ」に原因があることが多いようです。

 今回のようにDIYの植栽程度の規模ならばご自身で水はけ対策は十分出来るかと思います。今回、どのような対策をしたのか詳しくお伝えしたいと思います。

(1)縦穴を掘る

 縦穴を掘ったり水の流れ道を土の中に作るという施工方法や効果については、私は有名な高田造園さんのブログや著書で知りました。ネットやインスタなどからの情報を見ていると、そこから多くの庭師さんが高田造園さんの直接的・間接的な影響で浸透してきたように感じています。

 私の住む愛知県は植栽に不向きな粘土質であることが多く、今回も少し掘り進むとやはり粘土層が現れます。
 ”オーガ”という手動の穴掘りの道具を使い、80㎝程度掘り下げました(結構体力消耗します)。

(2)縦穴の効果確認

 これまでも、調子の出ない樹木の横に自分で縦穴を掘ってきました。しかし実際に水はけ改善されているのかどうか確認したことがなく、今回掘った穴に水を入れて効果確認することにしました。
 しかし2時間ほど経過しても1mmも水位が下がることがないという残念な結果となってしまいました。その後、道具的に掘り下げれる限界に近い140㎝(地面からは160㎝)程度まで掘り進みましたが水を通す砂礫層までは到達することができず、ここで断念しました…

(3)高植えによる水はけ対策

 高植えとは、植栽場所をグランドレベルより盛り上げることを言います。盛り上げる土は普通、堆肥などで用意するため水はけ・水持ちが良く、また高植えによって土中の水が捌けていきやすいというメリットがあります。また、真っ平らよりも、起伏に富んだ植栽の方が自然味を感じる雰囲気にすることができるので、特に雑木の庭では必須ではないかと思います。

 今回はこの方法に重点を置くことにしました。縦穴が効果が全くないかというと良く分かりませんが、1日置けば水位が下がるかもしれないし、大雨時はこの穴に水が落ちていくのである程度は効果があるのかもしれません。しかしそれを知る術は無さそうです…

 下の写真のような植栽エリアになりました。木を植えるため根鉢分の土は控えていますが、高いところでは20㎝、粘土層からは50㎝程度になっています。
 ちなみに奥側は園芸店で購入した天然石の板を土留め代わりに使用しています。スペースに合わせてグラインダーでカットしました。初めて石を切りましたが、(石の固さにもよりますが)意外と簡単に切ることができました。

3.植栽

 植栽エリアが進むにつれて木を入れたくなるもの。落葉樹の植え付けの適期である2月を越えていますが、枝葉をある程度落としたり、水遣りをこまめに行えば梅雨入り直後であればギリイケると考え、山採りのミツバツツジ早速ネットで注文しました。

 今回YouTubeでも活躍されている”GREEN ROCKET”さんで購入しました。山採りを扱っている上、配送してくるので重宝しています。しっかりとした梱包で、何のトラブルもなく到着しました。

 また、この季節に植え付けるメリットが一つあります。山採りの木は冬に山から切り出され、作業性を上げるために根が切られ過ぎてしまうことがあります。そのような株は春の芽吹きから葉っぱが縮れておかしな状態になり、夏まで持たずに枯れてしまうリスクがあります。
 この季節の購入は、そのようなリスクが無い訳です。

 ちなみにプロの庭師さんも、この季節でも落葉樹の植え付けを行っています。適期では無いものの、植え付け出来ないというレベルの話では無さそうです。ただし、リスクが高いのは事実。水遣りや過度な日当たり、枝葉をある程度落とすことには細心の注意を払いたいものです。

 ミツバツツジのほかに、このために買っておいた”ヤマアジサイ”や”ツクシカラマツ”を植え付けました。

4.苔貼り

 苔は以下のような素晴らしい効果があります。
・冬でも緑を保つ
・地表の乾燥を防ぐ
・水遣り後、保水してくれる
・土の流れを防ぐ
・緑がキレイ
・根を張らないので、他の植物の邪魔をしない
 どうです? 最高ですよね。

 苔と言っても様々な種類があります。有名なのはスギゴケだと思いますが、乾燥や暑さに弱くプロでも育てるのが難しいので避けた方が無難かと思います。
 育てやすい、お勧めは”スナゴケ”と”ハイゴケ”。
スナゴケは日差しに強く、屋上緑化にも使われるほど。ハイゴケはスナゴケほどではありませんが、半日陰の環境では圧倒的にハイゴケの勢力が拡大します。

 作庭当時の苔は、スナゴケが大半を占めていましたが、木漏れ日が広がるにつれハイゴケに変わっていきました。苔は胞子で増え、その胞子は種類の違い苔に混じっていることもあるため、入れたつもりがなくても環境が合えば置き換わっていったりします。
 またハイゴケは厚みを増していくため、ゴソッと取ってしまってもその穴の周囲の苔をポンポンと叩くと不思議と穴が塞がります。

 苔を貼る前にまず土の表面を軽くたたいて均します。そうすることで苔の活着が良くなります。

その後、シート状の苔を並べて軽く押さえます。更に活着を良くするために目土を軽く振り掛け、タップリと水を遣れば完成です。

5.ミストシャワーの設置

 屋根がある場所だということと、木々の木漏れ日の恩恵を受けることができそうにないこともあり、乾燥を防ぐために既存のミストシャワーを延長して植栽の上にノズルを配置しました。(既存のミストシャワーの記事:ガーデンミストを「スマート操作」! 自動朝霧で庭を自然の環境に
 人工の”朝霧”をイメージし、自動で早朝と夜間に15分程度ミストを噴霧して、”山野草が自生するしっとりとした環境”を模しています。あくまで朝夕の水遣りがメインですが、このミストはおやつ的な位置づけでしょうか? きっと植物たちに喜んで頂けてると思っています。

写真中央上のノズルからミストが出ます。 ミストの量がちょっと分かりにくいですが周囲がベタベタになるぐらいです。

いかがでしたか、少しでもあなたのガーデニングの参考になれば幸いです。