庭が引き立つ「木製フェンス」のメリットついて

 雑木の庭に限らず、バラや洋風ナチュラルガーデンなどの庭づくりにおいても、木製フェンスで庭を囲うことは様々なメリットがあります。しかし木製である以上、放っておけば製作時点から徐々に劣化してしまいます。
 今回は、フェンスのメリットやフェンスのお勧めの構造についてお伝えします。
次回のブログで、我が家の庭を作庭して7年経過した木製フェンスの状態、メンテナンス方法についてお伝えしたいと思います。

1.庭をフェンスで囲うメリット

(1)庭の植物たちを引き立たせる

 多くの人が庭づくりに、「ビジュアル的な感じ良さ」を求めているのではないでしょうか? 
木々や草花の緑は建築物(家)を外観的に引き立たせる効果があります。また家から眺める場合では、収穫物が得られる畑などとは違い、収穫が目的でない「庭づくり」ではメンタル的な「癒し」が求められていると思います。つまり「ビジュアル的な感じ良さ」が大切なのです。庭を眺めた時に視界に入ってくる緑色と、ウッドフェンスの茶色はどちらも「アースカラー」であり相性抜群! 庭の雰囲気を引き立たせてくれるのです。

 家の周囲の環境にも依るかと思いますが、少なくとも住宅地ではフェンスの効果により、人工的な無機質なアスファルトや車、お隣さんの建造物を隠すことができ、「庭づくり」に癒しを求めている人にとってはそのメリットはとても大きなものになります。

(2)他人からの視線を遮ることが出来る

 せっかくお金と時間をかけて作る庭。家の中から庭を眺めたり、庭に出て緑に触れたりする「癒しの時間」を満喫したいですよね。道路やお隣さんの庭に接している以上、外からの人の視線を受けてしまうことは避けられません。感じのいい庭であれば、なおさらのこと。

 中には他人からの視線が気にならない人や心地よく感じる人もいるかもしれませんが、、、もしもあなたが他人からの視線が気になるタイプで、そのためにガーデニングが十分楽しめないのでであれば、フェンスを立てることは「庭」の楽しみを100%引き出すことに繋がります。

(3)枝や落ち葉の越境を防いでくれる

 庭づくりを計画する際、枝の越境や落ち葉の侵入でご近所さんトラブルになることを心配されるのではないでしょうか?我が家のような狭いに葉では尚のこと。トラブルを避けるために枝の剪定や落ち葉拾いといったメンテナンスをすることはもちろんですが、忙しい現代社会に毎日落ち葉拾いをするのは厳しいでしょう。晩秋の落ち葉シーズンの落ち葉の量はかなりのものがあります。

 フェンスを作ることである程度落ち葉の侵入リスクを防いでくれますし、枝が越境しているかの目安にもなり、またフェンスの範囲は影になるため下枝や雑草が生えにくくなる効果もあります。

(4)夜にカーテンを開けて、開放的な空間を楽しめる

 こだわって作った庭。昼間しか楽しめないとすると、多くの人は休日しか楽しめないのではないでしょうか? 仕事が終わって帰宅した夜間でも庭の癒しを得ることが出来れば「庭づくり」のメリットはより大きくます。

 では夜間も「庭」を愉しむためにはどうしたら良いのか?というと、カーテンを開けて窓から庭が眺められるように、
①ガーデンライトを設置する
②他人の目が気にならないようにフェンスを立てる
ことが必要です。

私の庭ではガーデンライトを設置し、フェンスを立て、更に大きく育った雑木によりお隣さんの2階の窓からの視界を妨げてくれています。そのお陰で夜間でもカーテンを開放しリビングや和室からライトアップされた庭を眺めることができ、部屋の空間もより広く感じさせてくれます。

(5)雑木を日差しから守る

 雑木の庭に植栽される木々の中で、家の境界線近くに植える木は越境リスクを考慮して中低木が選ばれます。しかしこれら中低木は、自然界では高木の影響で強い日差しから守られているため、株元や幹への夏場の強烈な直射日光を非常に嫌います。下草として植えられる山野草についても同様です。

 そのため、フェンスが直射日光から守る役割を果たしてくれるので生育に良い効果をもたらします。

(詳しく知りたい方は、下記の記事を参照ください)

雑木の庭DIYの重要な2つのポイント

失敗しない「小さな庭」の植栽計画

2.フェンスはどのようなものがイイ?(高さ、材質、デザイン)

(1)高さ

 目的や立地条件に応じて適切な高さを決めた方が後悔が無いかと思います。過剰に高すぎると圧迫感が出てしまったり、高価になったり、強度的に問題が出たりしてしまいますので、高ければいいというものではありません。
 以下に示すポイントをもとに最適な高さを決めてみましょう。

①フェンス前に立つ人の目線の高さ

 人の立ち位置から170㎝程度の高さがあればほとんどの人の目線を避けることが出来ます。通行人の頭も見えないようにしたいのであれば、180㎝~200㎝程度が良いかと思います。ただし、通行人の歩く高さとフェンスを立てる高さに差があるかと思いますので、その高さを差し引いた数字がフェンスの高さになります。

②庭や道路の傾斜

 通行人が歩く道に傾斜がある場合、必要な高さが変わってきてしまいます。その場合、一番高さが必要な場所で高さを決めてそこから水平に持ってくるか(下図パターン1)、段違いにするか(下図パターン2)、2通りの方法があります。

家からの見た目にはフェンスがまっすぐ通っている方が不自然さは感じないと思いますが、コストや強度などの条件で決めれば良いかと思います。

(2)材質

 最近は、木製以外にも、木製フェンスに似せたアルミフェンスや、樹脂製のフェンスなどの工業製品があります。質感についてはやはり木製フェンスには敵いませんが、塗装のメンテナンスを考えるとこちらの方が楽なのは間違いありません。しかし木製より金額が高い上、アルミ製は夏場に非常に高温になるので触れる植物を痛めてしまうデメリットがあります。
 また、樹脂製は意外なことに耐久性が木材より劣る場合が多いようです。

 ここでは木製について触れたいと思います。
木製と言っても手に入れることのできる木材には実に様々な樹種があります。木材の固さ、加工性、比重、耐腐朽性 、価格、入手しやすさ などなど。業者に依頼するのであればフェンスに適した木材を選んでもらえると思いますが、DIYで実施する場合は木材選びはとても重要なポイントです。特に①耐腐朽性 、②比重(軽さ)について解説します。

①耐腐朽性

  木材の中には耐腐朽性に優れたもの、弱いものが存在します。 折角フェンスを作っても、耐腐朽性が低い木材だと風雨や紫外線によりビックリするほど早く朽ちてしまいます。そうなると強度が一気に下がるため、台風時などの安全性にも影響してしまい、結果危険なので撤去… ということに成りかねません。

 特にホームセンターで入手しやすい「ホワイトウッド」や「SPF材」は安価ですが耐腐朽性に非常に弱いため、使用を避けることを強くお勧めします。

②比重(軽さ)

 比重が軽いということは、フェンスが揺れないように固定する上で有利になります。重ければ重いほど揺れに弱くなり、フェンス最下部の固定部分の強度確保に工夫が必要になってきます。また、軽い材料は加工性も良いため、木材をカットしたりインパクトドライバーで多くのスクリューボルトで固定する際の生産性も高まります。

以上の観点から、以下の材料をお勧めします。

① ウエスタンレッドシダー( 耐腐朽性高い、 軽い、ちょっと高め)
②ヒバ(耐腐朽性高い、少し重め)
③ヒノキ(少し重め、固め 風呂に使われるほど水に強い、高め)
④スギ(軽く安い、耐腐朽性 若干劣る)

ちなみに、「キシラデコール」という オイルステインを塗布することで、更に 耐腐朽性、耐久性を高めてくれる便利な材料を併用することをお勧めします。 このあたりについては次回のブログで触れさせていただきます。

(3)縦格子か横格子か?

 フェンスのデザインも実に様々。大きくは①縦格子 ②横格子 に分けられるかと思います。
 板を重ね合わせて完全に覆ってしまうようなものもありますが、風通しが悪くなり病害虫の原因になってしまうリスクがある上、風圧を全面に受けてしまうため強度の観点からも不利になります。
 どうしても通行人からの視線を完全に遮りたいときは、ルーバー状にすることをお勧めしますが、使用する木材が薄いものになってしまうため強度や耐久性の上では不利になります。また加工も複雑になるため費用的なデメリットが大きくなります。また、木製である以上定期的な塗装のメンテナンス必要なので、あまり複雑な形だとその作業性が悪くなってしまいます。

 通行人からの目線に対しては、縦格子でも横格子でも差はあるものの、ある程度の安心感を得られます。覗こうと思えば見えてしまいますが、フェンスの隙間から覗いてやろうと目線を向けてくる通行人はほとんどいないかと思います。

 それでは具体的に、一般的な①縦格子 と②横格子について特徴をお伝えします。

①縦格子

・和の雰囲気

・通行人の斜めからの視線を遮ることが出来る。(下の写真参照)
 ※隙間が狭く、格子の厚みが厚いほどその効果は上がる。板状の縦格子で隙間が広いとその効果は下がる。

・材料費が高くなる(太めの材料を使うことになり、トータル材料が多くなる)

②横格子

・洋の雰囲気

・横に渡る板と板の隙間から連続して通行人から見られてしまう(視線を遮る効果が弱い)
 横板の隙間を狭めれば視線を遮ることが出来るが、その場合、圧迫感が生まれてしまう。

・材料費、加工費が安く抑えられる(構造がシンプル)

③笠木について

 木製フェンスの屋根に当たる部分に水平に板を這わせてある構造を良く見かけます。これは笠木といって、フェンスを長持ちさせるために効果を発揮します。木の断面で、木の繊維方向に垂直な切断面は水を非常に吸いやすく、それにより腐朽のきっかけになってしまいます。フェンスを支える縦柱の上面がまさにこの対象ですが、その上に笠木を這わせることで水の侵入から守ってくれます。笠木の繊維方向が地面と水平方向になるため水の侵入がしにくくなります。
 更に劣化の原因となる直射日光、紫外線に対しても、笠木の水平面がそれらを受け止めてくれるので、その下の木材へのダメージを抑えてくれます。庭師さん曰く、笠木があることで耐久性が増す上、笠木を交換すれば更に長持ちさせることが出来るとか。
 長持ちさせるためにも笠木を取り付けることをお勧めします。

 縦格子か横格子か、どちらがいいのか多くの方が悩まれると思います。上記の特徴を踏まえ、後悔の無いよう納得の選択をしていただければ幸いです。私の庭はというと「縦格子」、全く後悔はありません。「雑木の庭」には縦格子の方がシックリくるのかもしれませんね。他人の視線もさほど気になりません。

 しかしバラなどの洋風ガーデンの庭には横格子の方が雰囲気に合っているかと思います。デメリットである視線を遮る効果が弱い部分をカバーするために、顔の高さでは板と板の隙間を狭くしたり、その部分だけでもルーバーにしてみると良いかもしれません。

 ちなみに、ホームセンターや園芸店で売っている「ラティス」を活用すようと考えている人がいるかもしれません。しかし一般的にラティスは材質的にも構造的にも長い間使い続けることを想定しておらず材料間の固定方法が簡易的なため(ホッチキスのようなもの)、数年経ったらボロボロのバラバラになってしまことがあるため、庭を囲うフェンスとしての用途にはあまりお勧めできません(私の失敗談…)。参考意見として捉えていただければ幸いです。

3.まとめ

・木製フェンスにより以下のメリットがある。
 ①庭木や草花を引き立たせる
 ②通行人の目線を遮ることでガーデニングを楽しめる
 ③夜でもカーテンを開けて庭を楽しむ時間が増やせる
 ④日差しに弱い植物を守れる
・フェンスは材質選びが大切。特に耐腐朽性に優れ比重の軽い木を選ぶ
・縦格子は和風、横格子は洋風の庭にマッチする
・縦格子の方が視線を遮る効果が高く、横格子は材料が少なく安価に済ませられる
 (横板間の隙間をどれだけ確保するかによる)
・フェンス上部に笠木を付けると耐久性が増す

 いかがでしたでしょうか? 木製フェンスの魅力がメリットを知って頂けたら嬉しく思います。次回は木製フェンスのメンテナンスについて説明したいと思います。