晩秋の庭 おススメの「落ち葉そうじ方法」

雑木の庭で多くを占める広葉樹、秋に落葉時期が重なることでものすごい量の落ち葉が庭に降り積もります。紅葉フェスティバルの後片付けとして庭を綺麗に保ちたいものです。また、多少なりともご近所の敷地内に落ち葉が入ってしまうこともあるかと思います。我が家のような狭いエリアでの雑木の庭でどのような掃除方法が良いのか、ということを私の数年の経験をもとにお伝えしたいと思います。

1.落ち葉トラブルにならないために

 雑木の庭に限らず、庭に木を植える時に誰もが考えるのが「ご近所にご迷惑を掛けないか?」という不安。主に「枝の領空侵犯」と「落ち葉の侵入」の2つではないでしょうか? それらの影響度合いは作庭時にある程度決まってしまいます。

(1)賢い植栽計画で、ご近所迷惑のリスクを低減!

「①成長スピード ②最大となる樹高 ③葉っぱの大きさ・厚み といった木々の特徴を把握して、植栽計画時にお隣さんとの境界から株までの距離を考える」というもの。例えば、成長スピードが速く、高く成長し、葉っぱが大きく厚みもある(バラバラになりにくい)「コナラ」は、お隣さんとの境界線から遠ざけ、成長が緩やかな低木で葉っぱが小さくパリパリに砕けやすいもの(目立ちにくいもの)を境界線近くに配置すると枝の越境と落ち葉侵入をある程度防げます。この件についてはコチラの記事で詳しく解説していますので宜しければ参考にしてください。

(2)境界線にはフェンスとブロックを設置

 次に効果的なのがフェンス。フェンスは①庭を引き立たせる ②目隠し ③落ち葉や枝の越境を防ぐ 効果があります。フェンスの板同志の隙間は空き過ぎていると効果が薄れますし、詰まっていると圧迫感が出るだけでなく空気の流動が悪くなり病害虫の原因になってしまいます。フェンスについて詳しく説明したコチラの記事も参考になるかと思います。
 もう一つ重要なのが、境界線に土から20㎝程度の高さの壁を設けること。一般的にはブロックを並べる形になるかと思います。土の上に落ちた枯葉が風でお隣さんに入らないようにするために非常に効果が高いです。

(3)ご近所との人間関係

 このことがいちばん重要なのかもしれません。庭とは直接関係しない話であり偉そうなことをお伝えするつもりはありませんが、参考にして頂ければ幸いです。

 庭木でご近所に全く迷惑を掛けないことは広大な土地が無い限り無理でしょう。雑木の庭に限らず生垣などでも住宅街では越境していることが多々あります。これは「お互い様」という考え方で心のバランスが取られているのでははないかと思います。しかし相対的に枝葉が多い雑木の庭のメンテを怠れば、「お互い様精神」の平衡バランスは崩れてしまい兼ねません。

 相手の「気を遣われていない」「相手から自分は軽んじられている」という思いから不満の気持ちが消化できずに「ご近所トラブル」に発展するかもしれません。人の感情は一度トラブルに陥ると簡単にはそこから抜け出せるものではないと思います。また、迷惑を掛ける側より掛けられる側の方が数倍大きく感じてしまうものだとも思います。そのことを日頃から意識し十分配慮することが良い関係を保つために重要であると思います。ちなみに我が家では、残念ながら前述のような植栽の対策が取られていないこともあり落ち葉が越境しやすく、掃除の時にお隣様に声を掛けて掃除をさせてもらっています。
 多様化した現代、考え方も人それぞれ。他方、庭づくりは生活をより豊かにする手段。ご近所にとっても自分にとってもストレス要因となってしまうことは避けたいものです。

2.落ち葉掃除を始める前に

 ここからが本題です。常緑樹と落葉樹での落ち葉の季節について説明したいと思います。

 まずは常緑樹から。常緑樹といっても当然のことながら落葉します。 樹種や環境によって差はあります が、1枚の葉っぱの寿命は1年数か月から数年。すべての葉っぱが一気に落葉するわけではなく全体の2,3割の古い葉っぱが落葉し、まだ新しい葉っぱは残り続け、枝先からは新芽が出始める、といったサイクルを繰り返します。雑木の庭でよく使われる常緑樹の代表ソヨゴでは、その落葉季節は春と秋で2週間ほど続きますが、落葉樹の落葉時期と重ならないことと葉っぱの総量が少ないため、あまり目立つことはありません。

 雑木の庭の多くを構成する落葉樹は晩秋に落葉しますが、樹種や環境によりその時期がばらけています。我が家では、まず10月のアオダモ・ナツハゼに始まり、そこから12月中旬のモミジまでが落葉期間。初めは落ち葉の量は少なく、11月末から12月中旬の2,3週間で一気に落葉します。

 この11月末以降の大量の落ち葉を掃除するのに重宝するのが「ブロワー」と呼ばれる道具。よく道路上で街路樹の落ち葉の掃除で使っている長い筒状の風を送る、あの道具です。
しかし狭い庭であのような送風を起こしたらそれこそ落ち葉がお隣さんの敷地に入っていってしまいますよね。

 実はこのブロワー、風を吸い込むバキュームモードが搭載されています。掃除機のように落ち葉を吸い取り、ファンにより砕かれて付属の布袋に集められる仕組み。意外と吸い込み力は抑えられており苔が吸われてしまうようなことはありませんし、手で取るよりも何倍も作業スピードが速いので、是非お薦めしたい道具です。

3.落ち葉掃除の手順

 狭い庭での落葉ピーク時のおススメの掃除方法をお伝えしたいと思います。

(1)木をゆすり、落葉間近の葉っぱを落とす

 せっかく掃除が終わったのに1時間後にはまた落ち葉でいっぱい・・・ なんてことは、あるあるの話です。少しでも綺麗な状態が維持できるよう、掃除の前に手で木を揺すって落ちそうな葉っぱを落としておきましょう。
 高い木から低い木の順で進めます。低木の枝に引っ掛かった高木の葉っぱも取り払いましょう。また、可能であれば風が無い日を狙って掃除をすれば、お隣さんへ落ち葉が入ってしまうことを避けられます。

(2)ブロワーのバキュームモードで一気に落ち葉を吸い込む

 地面に落ち葉が溜まっている状態から、ブロワーのバキュームモードで一気に吸い込んでいきます。
以上、終了!
 手際よくやれば、準備片付け含めて10坪の我が家の庭で30分で終わります。

それでは実際の吸い込み作業をご覧ください。

4.落ち葉の有効活用

 集めた落ち葉をどうするか? 捨てずに有効活用することをお勧めしたいと思います。落ち葉は木にとって栄養豊富。有機物だけでなく地中から吸い上げたミネラル分も含んでいます。この落ち葉を毎年捨て続ければ、土中のミネラル分は不足していってしまいます。もちろん肥料で補うこともできますが、自然の摂理に従って地中に戻してみませんか? つまり落ち葉でマルチングをする訳です。

 雑木の庭の地面一面に苔を這わせ、「苔庭」として楽しんでいる人もいれば、雑木林のように地面を天然素材でマルチングしている人もいるかと思います。苔の上に落ち葉をマルチングをすることは出来ませんが、後者のような状態であればそれが可能です。

 苔の上やレンガや乱張り、通路や濡れ縁などの落ち葉が見苦しいエリアの落ち葉掃除してマルチング可能なエリアに返すと、そこに根を這わしている植物たちにとって嬉しい環境に変わります。植物の生育を助けると言われている菌糸を増やし、ミミズなどの小動物が土を柔らかくし、前述のようにミネラルを還元させることが出来ます。土中環境をより理想的な状態に近付ける助けになる訳です。
 マルチングで落ち葉を撒くと、またその落ち葉が舞ってしまうのではないか? と思われるかとおもいます。しかしブロワーで吸い取った落ち葉はある程度細かく砕けていることと、地際を覆うヤブコウジやキチジョウソウなどの低木や下草の下に馴染ませてやることで十分避けられます。

 我が家では、せせらぎエリア、苔エリア、植栽エリアに分かれており、せせらぎ・苔エリアの落ち葉をブロワーで集めて植栽エリアに撒いています。

5.まとめ

・落ち葉が近隣トラブルにならないような植栽計画が大切
・フェンスや地際のブロックによる壁で落ち葉の飛散を抑制
・お隣さんと良い人間関係を保つためにこまめなメンテを
・掃除にはブロワーが有効
・ブロワーは吸い込みモードで
・集めた落ち葉はマルチング材として有効利用できる

いかがだったでしょうか? 雑木の庭の作庭を検討している人や落ち葉掃除で悩んでいる人の一助になれば幸いです。