庭が引き立つ「木製フェンス」のメンテナンスについて
先回のブログで、「木製フェンス」のメリットをお伝えしました(記事はコチラ)。庭を豊かな空間にするのに、とても効果的なアイテムです。しかし木製である以上、メンテナンスをしなければ無残な姿に変わってしまいますし、逆にメンテナンスをしていれば優に10年以上も綺麗な状態を保つことが出来るのです。(屋外に適した木材を使用した場合)
メンテナンスをどのような方法で、どの程度の頻度でやらなければならないのか? を知ることが、木製フェンスを設置するかどうかの判断につながってくるかと思います。結論、きっとあなたが想像しているよりも「以外に楽なんだな」と感じられると思います。それでは私の実践しているお勧めのメンテナンス方法を紹介したいと思いますので是非参考にしてください。
1.質感を損なわず、耐久性を高める お勧めの塗料「キシラデコール」
木材の表面を塗装で守ることは、有機物である木材を腐敗から守ったり、太陽光による劣化を抑制したりしてくれます。
私が紹介するお勧めの塗装は、いわゆるペンキやアクリル樹脂などではなくオイルステインの一種である「キシラデコール」という商品です。
(1)木製フェンスに最適な特徴とは?
一般的なペンキは表面に塗膜を作り、その塗膜で木材を保護します。粘度が高いため、あまり木材の内部まで浸透することはありません。また、経年劣化により塗膜が剥がれたり、塗装後の木材の経年変化で起こるひび割れにより塗膜が割け、そこからの雨水が木材内部に侵入して木材を腐らせる腐朽菌により内部から劣化してしまいます。
それに対し「キシラデコール」は、サラサラと粘度が低いことで塗料に含まれる木材保護成分が木材内部まで浸透します。このため、木目が残りやすく仕上がりが自然な上、木材を腐らせる腐朽菌などからも守ってくれる上、防虫効果もあるようです。
公園などの公共の場所にも木材は多く使われていますよね。公園のベンチやひさし、手すり、木材外壁など。それらにも多く採用されているということからも性能が認められているという安心感もあります。
2.どうやってメンテナンスするの?
一番知りたい核心の部分かと思います。丁寧に説明しますので最後までお読みください。
(1)頻度は?
私の場合は、以下の頻度でメンテナンスしています。
2年に1回 ほど
ただし、塗布する範囲は毎回多かったり少なかったり。詳細は次の(2)で。
また、その地域の環境(雨量、湿度、海風、日当たりなど)、により大きく変わって来るかと思います。
メーカーの推奨頻度は以下の通り。
「1回目の塗り替えは2~3年後、以降は5年毎を目安として再塗装してください。ただし、条件によって異なりますので期間を保証するものではありません。」
いかがですか? 以外に長持ちすると思いませんか? 実際に使ってみて上記に近い手応えを感じています。
(2)部位によって頻度を変える
上記の通り、私は2年に1回の頻度でメンテナンスしていますが、すべての木材の表面を塗っているわけではなく、劣化しやすい部分としにくい部分を分類して、それぞれの頻度で作業しています。
①ランク1 水平面(笠木など)
頻度:2年/回
太陽光をもろに受け、雨が溜まりやすい水平面は最も劣化しやすい厳しい環境にさらされます。濡れと乾燥を繰り返す、木材にとって最も過酷な環境です。
笠木はまさにここに当たります。ちなみに先回のブログで「笠木」を取り付けることをお勧めしたのは、劣化を受ける部分を笠木に集中させ、痛んだら交換できるようにするためです。
②ランク2 南側の縦面
頻度:4年/回
人から良く見える縦壁の一般面で、縦格子、横格子の見える面がこれに当たります。 特に日差しが当たる南側。 太陽光はかなり斜めから当たる上、雨が溜まることが無いので、笠木よりも格段に痛みにくいですが、太陽光の影響で色あせが目立ちます。
③ランク3 北側の縦面、隠れる面
頻度:6年/回
一般的な南側の庭の場合、庭から見える面がここに当たるかと思います。上記「ランク2」の裏側ですね。また、縦・横格子の間と間の面、下向きの面がこれに当たります。
日差しを受けることが少ないい上、雨が溜まることも少ないために意外なほど劣化しません。私の庭の木製フェンスは現在7年経ちましたが、これまで1回しか塗ったことがありません。
注意ポイント!
いくらサラサラのキシラデコールでも、何度も塗り重ねれば木材内部に浸透できずに塗料が浮いて固まってしまいます。こうなると、質感が落ちてしまいますのであまり「塗りすぎ」はお勧めできません。
(3)お勧めの塗装方法で作業効率UP
塗料を塗る際に一般的には「刷毛」や「柄のついた専用スポンジ」や「ローラー」などを使いますが、私がお勧めしたいのは「ダスキンレンジまわりふきん」です。その理由と効果を説明します。
一般的なペンキと違い、キシラデコールは水かそれ以上にサラサラしています。粘度が低いためにペンキ用の道具は適しません。その理由を、道具に求められる以下の3つの重要な機能から説明します。
①刷毛(塗布する道具)に求められる3つの機能
A.多くの塗料を含ませられること
仕事の効率を考えると、塗料を含ませる回数が少なければ少ないほど楽です。ある面を塗ろうとした場合、”塗り始めは塗料がタップリついているけど、すぐにかすれてしまう” ということが良く起こります。その場合、満遍なく塗料が行き渡るように再度刷毛作業が発生します。その後また塗料を含ませることの繰り返し。手数が増えてしまいますよね。
これが蛍光ペンのように断続的に一定量で塗れたら楽ですよね。そこまではいかなくても、多くの塗料を含ませられることは1回で塗り続けられる範囲が大きくなるため、作業効率も上がり仕上がりも綺麗になります。
B.塗料が垂れ落ちにくいこと
塗料を含ませた刷毛を木材表面に移動する間に塗料のしずくが垂れてしまうことが良くあります。コンクリートの上に濃い茶色の塗料がポタポタと落ちていたら見苦しいですよね。養生をするのも大変な作業になってしまいます。そのため、多くの塗料を含ませることが出来れば、垂れるほど漬けなくても良くなる訳です。
C.塗布時に木材表面のガサツキに引っかからないこと
ウッドフェンスで使われる木材の表面は、粗仕上げになっていることが大半です。プレーナーややすり掛けで表面がツルツルな状態であればさほど問題ありませんが、一般的には、塗布する道具によっては木の表面のガサツキに引っかかってしまいストレスを感じてしまいます。刷毛は問題ありませんが、スポンジや特に雑巾のようなものは構造上不利になります。
D.細かな隙間に入ること
コーナー部や狭い隙間など、塗りにくい部位まで届くことも重要になってきます。
【参考】
ちなみに、プレーナー掛け、やすり掛けで表面がツルツルの木材の方が、塗料の劣化も木材の劣化もしにくい傾向にあります。そのような木材は高価であったり、自分で仕上げようとすると大きな労力が掛かりますが、拘るのであれば是非チャレンジしてみてください。
②「 ダスキンレンジまわりふきん 」が優れている理由
上記、3つの機能をすべて満足するのが「 ダスキンレンジまわりふきん 」なのです。折りたたんで使えばかなりの量の塗料を含ませられる容量があるのと、繊維の構造が起毛のようになっているため細かな木材の繊維に引っ掛かりにくい特徴を持っています。ちなみに雑巾では繊維の構造がループ状の糸の集合となっているためこのループに木の繊維が引っ掛かってしまうのです。
ウレタンも同様に細かな穴に木の繊維が入り込み、ウレタンがボロボロになってしまい素のカスが塗面に付着してしまう上、ウレタンの空洞が比較的大きいことから垂れやすいというデメリットがあります。
また、ふきんのため塗る場所に応じて形状を変えられるのも大きなメリットの一つです。狭い隙間やコーナー部などの作業性は他のどんな道具よりも優れています。
ただし、ふきんだと手に塗料が付いてしまうため、ゴムの手袋などを用いて爪の間などが茶色くならないように気を付けましょう。(洗剤とタワシでこすれば取れますが・・・)
(4)作業時間は?
私の庭は、約20m、高さは1.5m~2mほどあります。それを前提に上述の方法での作業時間をお伝えします。
上記のランクごとに以下に示す時間を掛けています。 ひとつの目安にしてください。
・ランク1=1時間(3分/m) ※2年に1回
・ランク1+2=4時間(12分/m) ※4年に1回
・ランク1+2+3=10時間(30分/m) ※6年に1回
ちなみに乾燥時間は、ベタつきが無くなる完全に乾燥するまでに3日程度掛かります。
意外と時間が掛からないな?と思いませんか? これが2年に1回程度ならさほどハードルが高いことではないのではないかと思います。
3.まとめ
・塗料は長期間木材を保護する「キシラデコール」がお勧め
・木製フェンスの部位によって痛みやすさのスピードに差がある
・2年に1回ほど、それらの部位に応じた適切な頻度で塗布する
・刷毛よりも「 ダスキンレンジまわりふきん 」が便利
いかがでしょうか? 「木製フェンスは感じ良いけどメンテナンスが心配」と思われている方、そのメンテナンスのイメージが掴めたでしょうか? この情報があなたの庭のフェンス計画にお役に立てれば嬉しく思います。