ゲンノショウコ (住宅街での育成環境)

開花などの旬の季節に合わせて「雑木の庭にお薦めの植物」を紹介します

 9月に入り暑さが一段落する頃に開花期を迎えるゲンノショウコ。直径1㎝ほどの白や赤紫の花をいくつも次々と咲かせ、花の少ないこの季節に重宝するお勧めの野草です。優れた薬草としても古くから知られ、漢方や健康食品に今でも使われています。

 また、花は大きく白系と赤紫系の2種類があります。主には白系が東日本、赤紫系が西日本に分かれています。他の山野草にも同様の傾向があるのですが不思議ですよね。ちなみに私がいる中部地方はというと、白系が多いですが赤紫系も自生しています。

 花後の姿にも特徴があります。1週間ほどの開花期を過ぎると花弁を落とし、一般的な花同様に種を作り始めます。種が熟したのち、このゲンノショウコは種を遠くに飛ばす特徴があるのです。初めてこの特徴を聞くと、「えっ」と理解しにくい言葉に聞こえるかもしれませんね。種が熟してくると、下の写真のように板バネの原理で、伸びたバネが一気に丸まろうとする動きをしてその先端に付いた種を弾き飛ばすのです。数十センチは飛ぶそうですよ。そのため、次の年に意外な場所から生えてきますが、その場所の環境が合わなければ消滅してしまいます。

 種を飛ばした後、神輿のような姿になることから、別名「ミコシグサ」とも呼ばれています。
ちなみに、山野に自生する1年草のツリフネソウも、同じく種を飛ばす特徴を持っています。

 育て方は以下の2点を抑えておけば意外と簡単です。
 まずは、日当たり。日当たりが良すぎると葉焼けを起こし、逆に日当たりが不足すると花付きが落ちる上、年々株がやせ細っていきます。一日中木漏れ日の環境か、2時間ほど日が当たりその後日陰になるような場所がベストです。
 もう1つは用土。乾燥は嫌いますが、水が多すぎる状態も嫌います。あっけなく根腐れして一気に株全体がやられてしまいます。そのため、鹿沼土、腐葉土、を庭の真砂土にしっかり漉き込むなどして、「根が呼吸できる状態」が維持できるよう心がけてください。また、雨が降ると水が溜まるような場所には植え付けないようにしてください。どんなに土を良くしても、水に浸かってしまったら根腐れしますので。

 いかがでしたか? 下表のまとめも参考にしていただき、育ててみてくださいね。