セツブンソウ (住宅街での育成環境)

 寒さのピークを少し越えた2月初旬から咲き始めるセツブンソウ。花の少ない季節に春の訪れをいち早く教えてくれる植物の一つです。今回はその魅力や特徴、育て方をお伝えしたいと思います。

1.特徴

 セツブンソウは、早春に芽を出し花を咲かせ、春の終わりには地上部がなくなり休眠期を迎える、スプリングエフェメラル(春植物)と呼ばれる種類の球根植物です。小さな植物であるために、落葉樹や他の下草類が芽吹くまでの間に、花を咲かせ、日を受け養分を蓄え、種を付け、休眠するといったサイクルを短期間で行うという珍しい特徴をもっています(他にも、カタクリ、イチリンソウ、ニリンソウ、コバイモなどがあります)。このような特徴を持つことで小さいながら生存競争を生き残ってきたのですね。

 関東以西の石灰岩のある林床などに自生します。自生地には多くの人が訪れ、また春の便りとして新聞の記事で見かけることもあるかと思います。私の住んでいる愛知県では新城市にある「石雲寺」が有名。お寺の山の裾野に広がるセツブンソウの群生を見ることが出来ます。

2.植え付け

 セツブンソウに限らず、スプリングエフェメラルはその特性を考えた植栽が求められます。冬場は日が当たり、夏場は日差しが遮られる場所。一見矛盾するように感じますよね。夏場の日差しを遮る方法は落葉樹の影になる場所が最適です。まさに雑木の庭の環境が最適です。もしもそれが難しければ、夏場は上空に寒冷紗を設置し日差しを和らげたり鉢植えにするという方法もあります。夏場の休眠期でも地表に直射日光が当たりすぎると熱で球根がやられてしまいますので注意しなければなりません。
 上手く育つかどうかは植え付け場所で決定付けられてしまうので、慎重に見極めて欲しいと思います。

植え付けの土は、水はけが良いものを選んでください。石灰岩地帯に自生するため、有機石灰を少量混ぜると良いでしょう。

3.育て方・増やし方

 芽出しから休眠期に入るまで、1週間に一度ほど1000~2000倍程度の液肥を与えます。液肥の中にブドウ糖を少量混ぜると球根を効率的に太らせることができます。これはセツブンソウに限らず球根植物に共通する方法。是非お試しください。
 休眠期まで、葉っぱに他の下草や枯葉が掛からないようメンテナンスをした方が良いかと思います。短い期間での光合成、効率を高めてあげたいですね。

 種が出来やすい上、発芽しやすいのも嬉しい特徴です。種が出来たら直ぐに撒きます。すると次の年の2月には、小さな1年生の芽を出してくれます。ただし1年生の葉っぱはセツブンソウとは似ても似つかぬ小さな丸い1枚の葉っぱ。雑草と間違えて取ってしまわないように注意してください。
 2年目からはどことなくセツブンソウっぽい切り込みの入った葉っぱに変わり、4年ぐらいで開花球まで成長します。気の長い話ですが、カタクリは10年と言われていますので、早い方なのかもしれませんね。

4.フォトギャラリー

5.まとめ

最後までご覧いただき、ありがとうございました!